『田崎真也の“料理とワインの組み合わせ”』第7回
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<ご報告>
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シックな「S」の店内
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今回もギリー隊斉藤彰子さんにレポートをお願いしました。有難うございました。
田崎さんも楽しみにしているギリークラブのシリーズです。何度も申し上げておりますが、人数が揃うのでこれだけの種類が楽しめます。毎回毎回のテーマも大変充実してきています。まだ参加されたことのない方、この会は素晴らしい盛り上がりですよ。
でも皆さん本当に喜んで楽しんでいらっしゃいましたね。田崎さんギリークラブを喜んでいらっしゃってますし、そして何よりも新支配人の多川さんから『週に一組はギリークラブでいらっしゃった方にご来店願っています』と言って頂き、企画者としてとても嬉しく思っています。
どうぞギリークラブの皆様を大切にしていただけるワインレストラン『S』を、今後ともよろしくお願いします。
渡辺幸裕
『田崎真也の“料理とワインの組み合わせ”』第7回
2004年7月17日(土) フレンチレストラン『S』にて
超人気企画の第7回目は、大変な猛暑の日。それでも正午前から、参加者が続々と集まり、席につくと、ワインの前に冷たい水をいただいて、会のスタートを待っています。
まずアミューズとともに、いつものように各席にスパークリングワインがサーブされました。
■アミューズ:「ホロホロ鳥とイベリコ豚のリエット」
●食前酒:NV Nahe Sekt b.A Riesling Trocken Paul Anheuser
ドイツの13ワイン生産地域の1つナーエ地方で造られるスパークリングワインです。
ブドウ品種はリースリング。酸味が少なく、やわらかい味わいのドイツのリースリングですが、その中にもスパイシーな味わいやさわやかなミネラル感が感じられて、蒸し暑い日には、まさにピッタリ。また、口当たりはさっぱりとして、でもコクのある塩味のきいた今日のリエットとも合います。
皆さん、ほてった体にスパークリングワインが効いたのか、どのテーブルでもすでに大変な盛り上がりになってから、田崎さんのトークが始まりました。
今回初参加の方が多かったので、まずは、田崎さんから、『S』とともに、9月7日の開店する新しいお店『T』の紹介がありました。
『S』にも近い愛宕山。愛宕神社にあった愛宕茶屋がクローズするにあたり、お店を引き継がないがという話が、田崎さんのもとにあったそうです。東京で最初に情報発信したラジオ局(現、NHK放送博物館)があった場所でもあり、TokyoのTと茶屋のTea Houseからとって『T』という店名に決められたとか。コンセプトは「東京」。東京を一地方ととらえ、東京でとれる食材で、東京の人が誇りをもって味わってもらえるお料理を、東京の地酒の焼酎、日本酒、ビールで楽しんでもらおう、とのこと。東京には奥多摩地方や、伊豆諸島もありますから、田崎さんが調べたところ、だしの材料から、野菜、魚介類、卵に牛肉まで、すべてそろうそうです。焼酎は9蔵、日本酒は12蔵、地ビールも10種あるとか。
こちらのお店も興味が惹かれますが、そろそろ今回のワインとお料理を紹介しましょう。
今回のテーマは、“各国を代表する個性的な品種と料理のマリアージュ”。世界中の個性的なワインばかり白4種、赤4種で、料理との相性を感じて「自分の好み」を見つけてみよう、というものです。
それはまさしく『S』の基本のコンセプト「ワインを価格帯でなく、料理の相性や、自分の好みで選んでほしい」そのものです。開店して2年がたつ『S』ですが、値段を気にせず楽しんで食事をしていただけるようになったそうですが、一度に8種のワインをいただけるこの機会は、まさに「好み」を見つけるにうってつけです。
■前菜:スズキのミルフィーユ 2種類の香りで
今日の前菜は、さっぱりした味わいのスズキ。生の塩締めと軽く燻製したスズキ。
焦がした皮が添えてあります。
さらにソースとして、南フランスの料理でよく使われるフヌイユ(ウイキョウの根とオリーブオイルを混ぜたもの)が添えられ、味わいに華やかにボリュームアップさせてくれます。
口に入れる前に、ほどよい燻製の香りと、ソースのライムも香って、まさに白ワインが飲みたくなる・・・そんなお料理です。
<白ワイン>
●2002 Nagano Sauvignon Blanc Azumi Apple
長野県では、今年よりワインの原産地保証認定制度というものをはじめたのだそうですが、採用された長野の原産地呼称法で今年3月に官能試験において優秀な成績をおさめたソービニヨンブランで作られたものです。
ソービニヨンブランはボルドー原産の品種ですが、そもそも香りのよいものを作るのは難しいとされているそうです。
長野で作られたこのワインは、ニュージーランドのソービニヨンブランに似て、爽やかな味わい。柑橘系、ライムのような香りと、トマトのヘタ、青いトマトのような香りがあり、お料理のライムの香りに合わせてのセレクトです。
●2002 Wachau Gruner Veltliner Kabinet Trocken Dintlgut Loiben
オーストリア中央北部のバッハウで作られた、オーストリア独自の葡萄品種グリュナーフェルトリナーの辛口です。このブドウ品種は、白ワイン用としてオーストリアでは一番栽培されており、スパイシーな味わいが特徴とされていますが、このワイン上品で繊細な印象のなかに、後味で白こしょうの風味があるとのことです。スズキ特有のミネラルな香りに合わせて。
●2002 Eden Valley Viognier Yalumba Winery
サウスオーストラリア州のバロッサバレーのワインです。ブドウ品種はヴィオニエ。ヴィオニエはコート・デュ・ローヌ原産ですが、本来の杏や白い花、熟した果実を想わせる特徴のある香りを出すことが難しく、特に湿気があると駄目なのだそうです。このワインには、杏のコンポートのような香りをもち、木の大樽で熟成したことによるナッツを煎ったような印象もあり、前の2本より、華やかな味わいを持っています。
●1997 Rioja Capellania Gran Reserva Marques de Murreta Yagay
今回の白では、一番複雑な印象を持っていたのが、このスペイン、リオハの白です。葡萄品種はスペインのスパークリングワイン「カヴァ」の主要品種でもあるビウラ。長期熟成したタイプで、蜂蜜、土、木の香りが感じられ、スズキそのものとの相性よりは、燻製の香り、焦がした皮のところ合うかもしれない、とのこと。リオハは品種の個性や芳香を特に打ち出したワインを造るといわれていますが、明らかに前3本とは違う、かなり個性的な味わいの白です。
「もしかしたら、今日の肉料理のほうが合うかも」という声も聞かれました。
■メイン:豚ホホ肉とテールのコンフィ フォン・ド・ヴォー風味
豚のホホ肉、尻尾の肉に、しめじ、エリンギ、人参、ズッキーニなどの野菜をフォン・ド・ボーのソースで味付けしたボリュームたっぷりの料理です。豚のしっぽは10〜15cmあるそうですが、根元の部分がおもいのほか太く、しかもゼラチンたっぷり。マスタードをつけていただくと、よりいっそう味わいが深くなります。
<赤ワイン>
●2001 Stellenbosch Pinotage Mooiplaas
南アフリカで、その土地に合う葡萄品種をと開発されたピノタージュという品種の赤ワインです。ブルゴーニュ原産のピノノワールと南フランスのサンソーを交配して作られ、渋みが少なく、やわらかな印象。少し南フランス特有のスパイシーな香りもあります。豚肉のコラーゲン質に合わせて選ばれました。
●2002 Mendoza Valle de Uco Tunuyan Malbec Salentein
もともとボルドー原産のマルベック品種は、アルゼンチンで成功し、近年注目されています。メンドーサはチリとの国境、アンデス山脈の東側に位置し、標高1000mの畑が連なってるそうです。
味わいは豊かでボリューム感があり、最後にブラックペッパーの印象があるとされています。
●2000 Colchagua Valley Carmenere Mont Gras
最近までメルローだと思われていたチリの品種、カルムネール。ボルドー原産ですが、今ではボルドーではあまり作られておらず、チリで成功したチリならではの品種です。1860年にヨーロッパで害虫フィードキセラの大被害にあい、たくさんの醸造家がチリに渡ってきて、技術が飛躍的に向上したことは有名ですが、メルローという品種がメジャーだったこともあり、近年まで誤解されていました。
スパイシーで渋みがあり、酸味もしっかりしています。
●1996 Nemea Saint George Skouras
今年のオリンピック&世界ソムリエコンクールの開催国ギリシャは、ペロポネソス半島で栽培されている、特有品種で高貴品種アギオルギティコのワインです。
スパイシーなフレーバーで、96年ものということもあり、熟成も進んでいました。
以上が本日のワイン全種ですが、ワインを飲みなれた人でなくても、味の違いがはっきりとわかる個性的な品揃えでした。
そもそもワインの好みなど、人によってさまざまで「この料理はこのワインに合わせるべき」という正解があるわけではありません。そのワインがもっている香りや味わいのどこをどう合わせるのかは、その人次第。
焼いた白身の魚料理には白を、煮込んだ肉には赤を、というのはわかりやすいかもしれませんが、今日の会のように、同じテーブルを囲んだ人たちと、楽しくおしゃべりしながら自分でおいしいと感じたものを味わえばいいのだと思います。
きっと古代オリンピックを開催していた昔から、ギリシャの人たちも、そうおしゃべりしながらワインを味わっていたんでしょう。
デザートの色とりどりのベリーやバナナなどのフルーツを載せたクリームキャラメルをいただいた後、最後に料理長、大森さんと橘さんの紹介がありました。『S』では、料理長が数ヵ月後ごとに前菜とメインを2名で交代に担当しているそうです。しかも若いスタッフ全員で、試食会を開き、前菜15種、メイン15種、デザート7,8種のメニューを検討して決めているとか。
『S』の新支配人である多川さんの紹介もありました。阿部さんが10月の世界ソムリエ大会への出場を控え、その準備のために多川さんにバトンタッチです。
次回の“料理とワインの組み合わせ”では、吉報が届くのでしょうか?
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<ご案内>
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満員御礼。ご好評につき今回は満席となりました。これ以降のお申し込みはお受けできませんので御了解ください。
どうしても席が限られており、また田崎真也さんとご一緒するということでお申込みが殺到するのですが、できればいろいろな方に体験して頂きたいので、広くMLリストでご案内いたします。
過去数回はご案内自体をメンバーの方だけにしておりましたが、それを機に入会したかったのに、というお声も聞かれます。メンバー優先であることには変わりませんが、ギリークラブではこういう会もやっているのだという事も知っておいて頂ければと存じます。
田崎氏とは渡辺がサントリー時代からのお付き合い、田中康夫現長野県知事と一緒に出版した『ソムリエに訊け』という本を作った時から、そしてご一緒にワイン通販の企画をしたり、フランスにご一緒したり、テレビ番組を作ったりと、長年に渡って大変お世話になっている方です。
そしてこのギリークラブでも最初からお世話になりっぱなしです。田崎さんご自身がワインを選んでいただき、解説していただき、サーブしていただける、本当にもったいない!時間です。(ご本人はいつもやっています、とおっしゃっていますが、本当にホスピタリティーの固まりのような方です!)
超人気企画、田崎真也の“料理のワインの組み合わせ”今回のメニューです。
アミューズ
スズキのミルフィーユ 2種類の香りで
豚ホホ肉とテールのコンフィ フォンゥ疋ヴォー風味
クリームキャラメル 色とりどりのフルーツを添えて
プティフール
コーヒー
それぞれの料理に合わせる9種類のワイン、今回は“各国を代表する個性的な品種と料理のマリアージュ”というテーマでワインを選定しています。
なかなか味わう機会のないワインが沢山で渡辺も楽しみにしています。
食前酒
●NV Nahe Sekt b.A Riesling Trocken Paul Anheuser
ドイツのナーエで造られる辛口のスパークリングワイン。爽やかで夏の暑い季節には最適です。
白ワイン 4種
●2002 Nagano Sauvignon Blanc Azumi Apple
今年より採用された長野の原産地呼称法で官能試験において優秀な成績をおさめたソービニヨンブランです。
●2002 Barossa Valley Viognier Yalumba Wines
オーストラリアのヴィオニエ。大樽で熟成したバロッサバレーのワインです。
●2001 Wachau Gruner Veltliner Kabinet Trocken Dintlgut Loiben
オーストリア独自の葡萄品種グリュナーフェルトリナーの辛口です。
●1997 Rioja Capellania Gran Reserva Marques de Murreta Yagay
スペインのエブロ川流域にある有名なワイン産地リオハの白。葡萄品種はビウラです。
赤ワイン 4種
●2002 Mendoza Valle de Uco Tunuyan Malbec Salentein
アルゼンチンで確固たる地位を築いたマルベックの赤ワイン。
●2001 Stellenbosch Pinotage Mooiplaas
南アフリカで、その土地に合う葡萄品種をと開発されたピノタージュの赤ワイン
●2000 Colchagua Valley Carmenere Mont Gras
最近までメルローだと思われていたチリの品種、カルメネールのしっかりとした赤ワイン。
●1996 Nemea Saint George Skouras
今年のオリンピック&世界ソムリエコンクールの開催国、ギリシャの高貴品種アギオルギティコ
田崎真也氏と共にワインと料理の組み合わせを実体験する超人気企画、もう7回目になりますが、これはもうギリークラブの看板シリーズです。そして、人数が多いからこそ実現できる貴重な体験企画です。
どんなに酒飲みでもこんなに多くの種類のワインを飲み比べる事はできませんし、世界一のソムリエ田崎真也氏に直接お話を伺える場です。
そして何よりも単にワインの試飲会ではなく、楽しい食事会です。
毎回の盛り上がりは大変なもので、田崎さんもギリークラブの方の盛り上がりにはびっくりされていますが、楽しい雰囲気の“ワインと料理の組み合わせ”の会です。
参加希望の方はお早めに連絡下さい。
今回の締め切りは6月30日とします。その時点で希望者多数の場合は申込み順の早い方を優先にして調整しますのでご了解下さい。また同時にキャンセル待ちもお受け致します。
◎前回(4月24日)開催時の模様
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2004/0424.shtml
◎2003年12月13日開催時の模様
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2003/1213.shtml
◎2003年9月20日開催時の模様
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2003/0920.shtml
◎2003年5月10日開催時の模様
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2003/0510.shtml
◎2003年1月11日開催時の模様
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2003/0111.shtml
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<実施概要>
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●テーマ:『田崎真也 料理とワインの組みあわせ』
●ゲスト:田崎真也氏(ソムリエ)
●日時 :7月17日(土)12:00〜15:00
●場所 :レストランS
港区西新橋3-15-12 西新橋JLビル1階
TEL:03-5733-3212
●会費 :ギリークラブ会員:12,000円(当日入会可)/ビジター:14,000円
※当日入会も受け付けます。その場合は終身登録手数料10000円、2004年度通信費5000円を加えてお支払い下さい。
※ビジターの方は、メンバー同伴、もしくは紹介が必要です。詳しくは事務局渡辺幸裕までお問い合わせ下さい。
●人数:申込先着順 40名様限定 (メンバー優先です)
満員御礼。ご好評につき今回は満席となりました。これ以降のお申し込みはお受けできませんので御了解ください。
お申し込みは右記まで
→ g-club@gillie.co.jp
この機会にギリークラブへの入会ご検討の方はどうぞご連絡ください。
→メンバーになるには
※当日になってのご欠席は会費をご負担頂きます。ご了解下さい。
※当日の写真をサイトに掲載します。困る方は事前にお申し出下さい。
※7月10日(土)以降のキャンセルは出来ません。会費をご負担頂きますのでご了解下さい。
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