オペラレクチャー「魔弾の射手」を学ぶ
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<ご報告>
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「魔弾の射手」VTRを見ながらのレクチャーに引き続き、オペラ劇場でリハーサル中の「黒船-夜明け」を観ました。リハーサル風景は撮影出来ませんでしたが、若杉弘さんの指揮で、ピアノ伴奏のみで真剣に稽古している様子、貴重な見学が出来ました。
レクチャー後のリハーサル室の懇親会、今回はテーマである「魔弾の射手」、リハーサルを見た「黒船ー夜明け」、次回レクチャーの日本初演の「軍人たち」、現代音楽に関して、オペラ史に関してと多岐にわたりました。
超初心者がオペラを理解し、楽しめるような工夫、ギリークラブは常にその視点で企画を続けていきます。
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<ご案内>
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超初心者の為のオペラシリーズ第6回はウェーバー「魔弾の射手」です。レクチャーだけの為に時間を割く、というもの大変意味があります。まず、音楽やストーリー、その時代背景などもよく分かりますし、なんでも質問できますので、疑問点はかなり解消されます。
名前が聞いた事があっても、実は知らない事だらけオペラ、この日に「なるほどそうなのか」と発見する物が多い一日になります。そして『そうか、それじゃ観てみようか』とも・・・・
有名作品からのオペラ・デビューが良いと思いますが、気になっていたけど今まで知るチャンスが無かった作品と、このレクチャーで出会うのもまた楽しいものです。
レクチャー企画は新国立劇場さんのご好意で無料で行っています。まずは理解してみる、知ってみる、そういう段取りを踏む為の、ギリークラブ流「オペラ超初心者向けステップ企画」です。
周囲にオペラを観てみたいという方が居なくて一人で参加、この会で仲良くなり、情報交換し、共に見に行くようになる、そんな方々を見ていますと、やはり仲間の存在は重要です。
ギリークラブの中で、同好の方を得てください。そんな場になればと思っています。
編集や番組制作、ライターなどの方は特にお勧めです。オペラの基本を知り、情報源と懇意になる機会になれば、次の仕事に大変役に立つと思います。
なんの情報も持たず高価なオペラデビューは無謀です。オタク的に細かい点まで知る必要なありませんが、まずは楽しむ為の基礎知識をここで得てください。ネットやCD/DVDだけでは知ることの出来ない時間です。
ギリークラブは交流会ですから、レクチャー終了後には、ペットボトルを片手にオペラ何でも質問会があります。ここが一番充実して時間かもしれません。
本公演を観劇できない方の参加ももちろんOKです。劇場に2回足を運ぶ手間はありますが、それだけの価値があります。
ということで、オペラレクチャー第6弾は「魔弾の射手」、「ドイツのドイツ人によるドイツ人のためのオペラ」第一号です。以下の新国立劇場オペラ広報、桑原さんの作品解説をお読み下さい。
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オペラレクチャー付き観劇プラン<第6弾 オペラ「魔弾の射手」>
オペラレクチャー付き観劇プランの第6弾は、ウェーバー作曲の「魔弾の射手」です。
作曲家ウェーバーは、日本ではあまり耳なじみの無い作曲家かもしれません。しかし、音楽史において、特にドイツ・オペラ史においてウェーバーはとても重要な作曲家です。ウェーバーはモーツァルトによるドイツ・オペラの伝統を継承し、自らの「魔弾の射手」によってドイツ・ロマン派のオペラ様式を完成しました。そしてワーグナーへと流れを導いた作曲家なのです。また、ウェーバーとモーツァルトの妻コンスタンツェ・ウェーバー とは父方の従姉弟同士でもあります。
カール・マリア・フォン・ウェーバー(Carl Maria von Weber, 1786年11月18日 -1826年6月5日)がこの「魔弾の射手」を発表する以前、ドイツではイタリア・オペラを上演することが多く、また舞台も異国風(ドイツ以外の国をテーマにした)の作品が多かったのです。
この「魔弾の射手」の舞台はドイツ・ボヘミアです。原作は、J.アペルとF.ラウンの「妖怪物語」。その原作を、フリードリッヒ・キントがウェーバーの為に、4幕の台本に仕立て、ウェーバーが3幕に改定して作曲をしました。
1821年、ベルリンで「魔弾の射手」が初演されました。大反響を呼び、ドイツ国民オペラの金字塔を打ち立てたてました。この「魔弾の射手」を観て、ワーグナーやベルリオーズなど、後に大作曲家となる多くの人物が作曲家を志したとも言われています。
音楽史的に見るとドイツ・オペラは、ドイツの民俗劇の形式である<ジュングシュピール>の伝統を踏んで作曲されました。ジュングシュピールとは、<ドイツ語で書かれたセリフつきのオペラ>のことで、<音楽→台詞芝居→音楽→台詞芝居>という構成で作曲されたオペラのことです。
この「魔弾の射手」も、ドイツの伝統的な民俗劇の流れを汲んだジュングシュピール形式で作曲されていますが、音楽史的に大きな特色なのは、ドイツをドラマの舞台として作曲された「ドイツのドイツ人によるドイツ人のためのオペラ」第一号だという点です。
ウェーバー以前の著名な作曲家、モーツァルトとベートーヴェンが作曲したオペラ作品を例に挙げて解説いたしますと、モーツァルトの作曲したドイツ語のオペラ「後宮からの逃走」はトルコが舞台です。「魔笛」はメルヘンオペラです。そして、ベートーヴェンの唯一のオペラ「フィデリオ」はスペインで展開される救出劇です。つまり、このウェーバー作曲の「魔弾の射手」までは、ドイツを舞台としたオペラは存在しませんでした。そして、この作品の成功をきっかけとして、ドイツ・オペラはこれまで以上に発展していきました。
オペラ「魔弾の射手」はオペラが初めての方も、オペラファンの方も是非ご観覧いただきたい作品のひとつです。
<あらすじ>
第1幕
舞台は三十年戦争終結後のドイツ、ボヘミアの森の中。射撃大会を明日にひかえた予備競技で、名手マックスは不覚にも農夫キリアンに敗れる。世襲護林官クーノーの娘アガーテと結婚し、護林職を継ぐためには、翌日の御前試合で優勝しなければならない。スランプ状態のマックスは、クーノーに念を押され、いっそう不安になる。絶望に沈むマックスに、悪魔ザミエルに魂を売ったカスパールがつけこみ、夜中の12時に一緒に狼谷へ行って、伝説の百発百中の魔弾を手に入れれば明日の競技に勝てると誘惑。マックスはアガーテを思うあまり承諾してしまう。自分の身代りの生贅が見つかったとほくそえむカスパール。
第2幕
アガーテが、恋しいマックスの帰りを待っている。壁の肖像画が落ち不吉な予感を抱く彼女を、従妹のエンヒェンは慰め励ます。アガーテは朝方、森の隠者から白いバラのお守りをもらっていたが、果して効き目はあるのかは不明。やっと戻って来たマックスは、抱擁も束の間、狼谷へと出かけてしまう。 狼谷ではカスパールが、悪魔ザミエルに、マックスと引換えに延命を頼んでいる。悪魔は、最後の7発目の魔弾だけは自分が自在に操り、その犠牲者は貴様かマックスかだと言い残して姿を消す。そこヘマックスが到着。二人は7発の魔弾を鋳造し終えたところで失神してしまう。
第3幕
御前試合の当日。カスパールは、マックスの魔弾が最後の1発になるよう、自分の分を撃ち尽してしまう。クーノーの家では、不吉な夢を見たアガーテをエンヒェンが慰めているがそこへ届けられた婚礼用の花冠は不吉にも葬儀用のものだった。そこでアガーテは隠者にもらった白いバラで髪を飾ることにする。 さて再び射撃会場。領主オットカールの命で、マックスが最後の魔弾で自鳩を撃とうとした時、「撃たないで」と叫ぶアガーテが現れる。弾は放たれ、アガーテは倒れる。しかし白いバラに守られたアガーテは助かり、魔弾は木陰に潜んでいたカスパールに当った。すべての事情を知らされた領主は、魔弾を使用したマックスの永久追放を命じる。そのとき隠者が現れ、1年の猶予を提案し、その間、正義に背かなければ、アガーテとの結婚も許そうという。領主もこれに従い、皆は領主の慈悲を讃え、神に感謝する。
●音楽之友社 スタンダード・オペラ鑑賞ブック〔3〕ドイツ・オペラ(上)より転載
レクチャーでは、過去に海外で公演された本作品のビデオを使用して、聴き所・観どころと簡単なストーリー説明を行ないます。それから、本公演のアーティストの魅力を少しご説明したいと思います。
レクチャー(参加無料)にご参加いただいて、オペラ「魔弾の射手」ストーリーと作品のポイントを是非とも押さえていただきたいと思います。その上で、実際の「魔弾の射手」の舞台もご観劇いただきたいと思っております。皆様の観劇申し込みを、お待ち申し上げております。
なお、レクチャー終了後、簡単な懇談会を予定しております。皆様のご参加・お申し込みをお待ちしております。
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<参考サイト>
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●今回公演「魔弾の射手」のホームページ
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000014_opera.html
●新国立劇場トップ
http://www.nntt.jac.go.jp/
●オペラ入門
http://www.nntt.jac.go.jp/bravo_opera/index.html
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<参考>
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<カール・マリア・フォン・ヴェーバー> [1786―1826]
ロマン派初期の作曲家、指揮者、ピアニスト。
名前は、一般には上記のドイツ読みとウェーバーという表記が混在して用いられている。
モーツァルトによるドイツオペラの伝統を継承し、自らの『魔弾の射手』によってドイツ・ロマン派のオペラ様式を完成、そしてヴァーグナーへと流れを導いた作曲家として名高い。
わずか11歳で初めてのオペラを作曲し、『魔弾の射手』や『オベロン』などのオペラほか、『舞踏への勧誘』などの器楽曲も残す。また彼は、オーケストラの配置を現在に近い形に直したり、指揮棒を初めて用いた人物としても知られる。
モーツァルトの妻コンスタンツェ・ヴェーバーとは父方の従姉弟同士である。
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<実施概要>
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●ギリークラブ オペラレクチャー「魔弾の射手」を学ぶ
●日時:2月16日(土)13:30〜16:00
13:00 受付開始
13:30 レクチャー(ビデオを見ながら名場面解説)
15:00 交流会(リハーサルルーム)
16:00 終了予定
●会場 新国立劇場 5階 情報センター(京王線初台駅直結)
●講師:桑原 貴氏(新国立劇場制作部 オペラ広報)
●会費:無料 交流会会費(お茶代)は別途個人負担
●参加人数:申込先着順 25名限定
※レクチャーに参加したから本公演を観劇しなくてはいけない、
などという事はありません。どうぞお気楽におご参加下さい。
●応募締め切り:2月15日
それ以前でも満員の際には締め切ることもあります。
但し、席に余裕があれば締め切り後でも受け付けます。
お問い合わせ下さい。
なお、今回学ぶ「魔弾の射手」本公演の観劇&交流会は
4月18日(金)18:30開演です。
チケット手配の都合上、3月14日までにお申し込み下さい。
現段階でご希望の方はご意向をお知らせ下さい。
<オペラ「魔弾の射手」観劇&交流会>
○日時:4月18日(金)18:30
○会場:新国立劇場
○会費:ギリークラブメンバー 28,000円 ご同伴ビジター 30,000円
(S席での観劇+終演後の交流会費)
<参考 2007-2008シーズンのオペラ、レクチャー付鑑賞シリーズ>
・フィガロの結婚 レクチャー 9月1日 観劇 10月23日(火)18:30
・カルメン レクチャー 10月6日 観劇 11月28日(水)18:30
・ラ・ボエーム レクチャー 11月17日 観劇 1月26日(土)14:00
・サロメ レクチャー 12月8日 観劇 2月6日(水)19:30
・黒船-夜明け レクチャー 12月22日 観劇 2月22日(金)18:30
・魔弾の射手 レクチャー 2月16日 観劇 4月18日(火)18:30
・軍人たち レクチャー 3月8日 観劇 5月7日(水)19:00
・椿姫 レクチャー 4月12日 観劇 6月11日(水)19:00
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