和・倶楽部 大阪文楽公演観劇会
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<ご案内>
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関西に近い場所に在住の方は本当にラッキーです。渡辺は年に5,6回大阪での文楽公演にお邪魔しますが、東京で観劇するのと、全然違う雰囲気を味わえます。
まずは技芸員の方のリラックス度が違います。「ようこそ、文楽の本拠地へ」という気持ちで接してくれますし、劇場の方からは「本場を守っている」という気持ちを感じます。
大阪が生んだ日本の財産、人形浄瑠璃・文楽、東京の方にはちょっと手間ではありますが、行く価値はあります。技芸員の方と少人数で親しくお話が出来る機会でもありますし、今回のように、東京ではできないセミナーや舞台見学ができます。
今回は人形の首(かしら)を間近で見せてもらい、その首、首でどう性根が違うのか、今回の演目ではどの役にどの首が使われているのか、これを人形遣いの吉田幸助氏に伺います。
文楽人形の首(かしら)の種類に関してはこのサイトをご参照ください。
http://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/bunraku/jp/contents/dolls/index.html
文七、検非違使、孔明、大団七、源太、若男、又平、陀羅助など、男役の首には多くの種類がありますが、女役は本当に少ないのです。娘、老女形(ふけおやま)、婆(ばば)、お福、でも、同じ首でもかつらや着物で、全く違った人格(?)になります。
お姫様、武士の子女、町娘、遊女、幼な妻、などは、ほとんど娘首を使っていますが、舞台上での差は歴然としています。これって本当にすごいですよ。いつのまにか人形が人形でなくなっているのですから・・・
過去にも「人形セミナー」「首セミナー」は何回か実施していますが、より理解をして楽しむ為に、役と首を合わせるセミナーを企画しました。間近で首を見て、その役どころをちょっと学んでみましょう。
古典作品は基本は変わらないものですし、文楽は役者が演じるのではなく、人形が動く演劇です。このセミナーでより文楽が身近になればと思っています。
ストーリーテラーである大夫が義太夫節を語り、大夫の持ち味を引き出す太棹の三味線が、重要役割を演じ、大夫、三味線の演奏に合わせて人間以上の動きを人形が演ずる・・・文楽はその三業が一体となって成立している日本の娯楽です。
少なくとも事前に流れだけは頭に入れて置いた方が良いと思い、このページの最後にストーリーを付けておきます。(そんなもの必要ないとお思いの方はどうぞ飛ばして下さい)
大阪文楽劇場の夏の公演は3部制です。2日に鑑賞する作品は、大阪の熱い夏を感じる惨劇だそうで、私も初めての観劇、楽しみです。
なんともいえない凄い場面がどんどん出てくるようで、文楽終演後には、その熱い大阪の夜を技芸員の方と共に過ごしましょう。
3日の名作劇場は近松門左衛門の世話物が2作品、注目!です。
現代では「不倫」が一般的かどうかは知りませんが、江戸時代、武士が姦通を犯した妻と相手を成敗したのが「妻敵討」(めがたきうち)、武家社会では絶対に許されないことで、切られてしまったのですね。
なお、11:00開演の第一部「西遊記」は子供向けではありますが、作品としての完成度が高く、和・倶楽部ではおなじみの、桐竹勘十郎さんが孫悟空、吉田幸助さんが猪八戒を演じます。渡辺は見ようと思っていますので、ご希望の方はご連絡ください。
関西の方、近場でもあります、この機会に文楽に親しんで下さい。東京近辺の方、大阪の夏を楽しみませんか?わざわざ行く価値があります。これに合わせて、旅行や帰省、(出張なども!)作ってご一緒しましょう。
ぜひ奮ってご参加ください。
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<参考>文楽を知るためのサイト
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●日本芸術文化振興会(国立劇場)
http://www.ntj.jac.go.jp/
●国立文楽劇場
http://www.ntj.jac.go.jp/bunraku/index.html
●文楽協会
http://www.bunraku.or.jp/japanese.html
●人形浄瑠璃 文楽
http://www.lares.dti.ne.jp/~bunraku/index.html
●文楽への誘い
http://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/bunraku/jp/
●文化デジタルライブラリー(文楽)
http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/
●BUNRAKU MOJIHISADAYU'sPAGE(竹本文字久大夫)
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bunraku/c1.htm
●Sakiho.Com(豊竹咲浦大夫)
http://www.sakiho.com/Japanese/
●あやつられ文楽鑑賞(三浦しをんさんのエッセー)
http://www.poplarbeech.com/bunraku/bunraku_040501.html
●関西の伝統芸能の歴史 人形浄瑠璃の歴史と特色
http://www.kippo.or.jp/culture/geinou/rekishi/joruri/main.html
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<< 参考:今回鑑賞作品 >>
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<8月2日鑑賞作品>
◆第3部 サマーレイトショー
国言詢音頭(くにことばくどきおんど)
大川の段
五人伐の段
夏の夜の惨劇
大阪の曽根崎で、薩摩藩士の早田八右衛門が女郎の菊野ら五人を切り殺したという事件を脚色したもので、天明8年(1788)に竹本染太夫座で初演されました。作者は不明です。以後は歌舞伎で流行し『五大力恋緘』(ごだいりきこいのふうじめ)『盟三五大切』(かみかけてさんごたいせつ)などの作品の先駆けとなりました。
女に嫌われメンツをつぶされた男の仕返しはあまりに残虐で、観客は背筋も凍る恐怖を体験することになるでしょう。大夫と三味線の低く響くその空気とともに、忍び寄る恐怖は人形浄瑠璃ならではのサスペンスです。
堂島蔵屋敷に勤める薩摩の武士八芝初右衛門(やしばはつえもん)は、出入りの町人絵屋仁三郎(えやのにさぶろう)に紹介された曽根崎新地の菊野を見染め、藩の金を使い込むほどに入れ揚げています。しかし、菊野が仁三郎に宛てた手紙から、初右衛門は二人が深い仲であり、しかも菊野は初右衛門を毛嫌いしていることを知ります。そこへ仁三郎と菊野らが乗った遊山船の一行が大川を通ります。本人がそこにいるとも知らず、初右衛門の悪口を言いたい放題にぎやかに・・・。立ち聞く初右衛門の心に復讐の炎が燃え上がるのでした。
<出演>
○ 大川の段
竹本津駒大夫 鶴沢寛治
○ 五人伐の段
中 竹本文字久大夫 鶴沢清友
切 竹本住大夫 野澤錦糸 胡弓 豊澤龍爾
<人形役割>
桜風呂の菊野 吉田和生
仲居お岸 吉田簔二郎
小女郎 吉田玉誉
若党伊平太 吉田玉志
八芝初右衛門 吉田玉女
絵屋仁三郎 吉田清之助
船頭 桐竹勘次郎
大重の亭主 吉田紋臣
弟源之助 吉田清三郎
迎いの奴 吉田文哉
許婚おみす 桐竹一輔
悪者武助 桐竹紋吉
<8月3日鑑賞作品>
◆第2部 名作劇場
■お夏清十郎 五十年忌歌念仏(ごじゅうねんきうたねぶつ)
笠物狂の段
向ひ通るは清十郎じゃないか、笠がよく似た、管笠が・・・
播州姫路・但馬屋の手代清十郎は、主家の娘お夏と密通したため処刑され、お夏は狂乱となった-------はやり歌にもうたわれ、二人の名は遠く京や江戸の庶民にひろく親しまれることとなりました。この事件に取材し、五十年忌にあたる宝永6年(1709)、近松門左衛門が発表しました。上演の「笠物狂いの段」は下之巻の冒頭、お夏が行方知れずになった清十郎を尋ね歩く場面です。狂乱するお夏の姿を劇的に描き、人々の共感をよんだ作品です。
但馬屋の手代清十郎は、主人の娘お夏と恋に落ち、仲間の悪巧みに巻き込まれて人を殺め、失踪してしまいます。清十郎の妹おしゅん、許婚のおさんも歌比丘尼(うたびくに)に身をやつして清十郎の行方を捜しています。お夏もまた清十郎を求め、街道や浜辺をさまよい歩くのでした。
<出演>
竹本千歳大夫 竹本南都大夫 豊竹睦大夫 豊竹芳穂大夫 豊竹希大夫
鶴澤富助 野澤喜一朗 鶴澤清馗 鶴澤寛太郎
<人形役割>
旅の男 吉田玉勢
旅の女 桐竹紋秀
おしゅん 吉田清三郎
おさん 吉田勘市
飛脚 吉田簔次
娘お夏 吉田清之助
■鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)
浜の宮馬場の段
浅香市之進留守宅の段
数寄屋の段
岩木忠太兵衛屋敷の段
伏見京橋妻敵討の段
どうでも権三は好い男
夫を裏切り、他の男と情を通ずる・・・姦通。それは当時、死に値する行為でした。大阪で実際におこった妻敵討ち(めがたきうち)の事件を近松門左衛門は、意思に反して弁解の出来ない状況に追い込まれたという設定で脚色し、発表しました。享保2年(1717)竹本座初演。その後、昭和30年(1955)に復曲され人気狂言となり、現在では頻繁に上演されています。男女の主人公とその周囲にいる人々の微妙な心理を描いた作品です。
松江藩の表小姓笹野権三(おもてごしょうささのごんざ)は鑓の権三ともてはやされるほど武芸に秀で、その上美男で茶の道にも優れています。ある日、権三と川側伴之丞(かわづらばんのじょう)は、茶道の師浅香市之進の舅から、殿中饗応のための真の台子(しんのだいす)の茶の湯が催されることを告げられます。茶の湯で名を成せば立身出世の道も開けると、権三は真の台子の伝授を市之進の妻おさゐに懇願します。おさゐは伝授する代わりに、娘のお菊を貰ってくれと言い、権三は承知します。しかし、伴之丞の妹お雪の乳母の話から、おさゐは権三とお雪の関係を知ります。その夜、おさゐは怒りを押え権三に伝授の巻物を披見させますが、お雪のことで嫉妬し、権三の帯を庭先に放り出してしまいます。庭先に忍び込んでいた伴之丞はその帯を拾い上げ、不義密通の証拠と叫ぶのでした。
(演目の詳しい解説)
http://www.lares.dti.ne.jp/~bunraku/guidance/gonza/data.html
<出演>
○浜の宮馬場の段
竹本伊達大夫 鶴澤清介
○浅香市之進留守宅の段
切 豊竹嶋大夫 竹澤宗助 琴 鶴澤清丈
○数寄屋の段
切 竹本綱大夫 鶴澤清二郎
○岩木忠太兵衛屋敷の段
豊竹咲大夫 鶴澤燕三
○伏見京橋妻敵討の段
豊竹呂勢大夫 豊竹咲甫大夫 竹本相子大夫 豊竹呂茂大夫 豊竹靖大夫
鶴澤清治 鶴澤清志郎 鶴澤龍爾 鶴澤寛太郎 鶴澤清公
<人形役割>
娘お雪 吉田簔二郎
お雪の乳母 吉田玉英
笹野権三 吉田簔助
川側伴之丞 吉田文司
岩本忠太兵衛 吉田玉也
女房おさゐ 吉田文雀
奴角助 桐竹紋秀
倅虎次郎 吉田玉勢
娘お菊 桐竹紋吉
下女まん 吉田勘市
下女お杉 吉田簔紫郎
下人浪介 吉田簔一郎
浅香市之進 桐竹紋豊
おさゐ母 吉田勘弥
娘お捨 吉田玉若
岩木甚平 吉田玉志
踊り子 吉田清五郎
踊り子 吉田玉佳
<希望者のみ観劇する、3日の第一部の作品>
◆第1部 親子劇場
西遊記〜悟空の冒険〜
閻魔王宮の段
桃薗より釜煮の段
火焔山より芭蕉洞の段
祇園精舎の段
待望の『西遊記』登場!
三蔵法師が孫悟空らを従えて、数々の困難を乗り越え、はるか天竺へ経典を取りに行く奇想天外な物語『西遊記』は、古くから多くの人に愛されているお話です。人形浄瑠璃でも文化13年(1816)「五天竺」として上演されています。「五天竺」を分かりやすく改めた文楽版『西遊記』は、孫悟空の通力自在の仙衛を国立文楽劇場の舞台機構を駆使して演出する、夏休み公演の人気の作品です。
今回もハラハラ、ドキドキ、楽しさいっぱいの『西遊記』をご家族揃ってお楽しみください。
孫悟空は天界で大暴れした罪により、地獄の閻魔大王の元に送られます。自分は不死身のはずと納得がいかない孫悟空は、寿命が書かれた閻魔帳を塗りつぶし、居合わせた唐の太宗皇帝の寿命も書き換えてしまいます。喜んだ太宗皇帝は、孫悟空の力を見込んで三蔵法師の旅の供を依頼します。太宗皇帝は、三蔵法師に遠い西の国・天竺へ行き、尊い経典を持ち帰るよう命じていたのでした。
物語の途中、「文楽へのご案内」にて、出演者が西遊記の話や文楽の魅力を楽しく紹介します。お客様の中から実際に舞台に上がっていただく「体験コーナー」もございます。
<出演>
○ 閻魔王宮の段
竹本津駒大夫 竹澤団吾
○ 桃薗より釜煮の段
竹本三輪大夫 鶴澤清志郎
○ 火焔山より芭蕉洞の段
豊竹英大夫 竹澤団七
○ 祇園精舎の段
豊竹松香大夫 豊竹始大夫 豊竹咲甫大夫 竹本文字栄大夫 豊竹咲寿大夫
野澤喜一朗 鶴澤清馗 鶴澤清丈 鶴澤清公
<人形役割>
閻魔大王 桐竹亀次
赤鬼 吉田文哉
青鬼 吉田簔紫郎
太宗皇帝 吉田清五郎
孫悟空 桐竹勘十郎
番人才覚延 吉田玉佳
三蔵法師 吉田玉輝
猪八戒 吉田幸助
沙悟浄 吉田勘弥
里人 吉田玉勢
羅刹女 桐竹紋寿
牛魔王 吉田勘禄
船人 桐竹紋臣
釈迦如来 吉田簔次b
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<実施概要>
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和・倶楽部 大阪文楽公演観劇会
●日時:8月2日(土) 3日(日)
●会場:大阪文楽劇場
(8月2日)
17:00 人形頭(かしら)を学び舞台裏を見学(人形遣い吉田幸助氏に聞く)
18:30 文楽公演 鑑賞作品:国言詢音頭(くにことばくどきおんど)
大川の段 五人伐の段
20:15 終演予定
20:30 技芸員の方との夕食会(別会費)
●会費:ギリークラブ会員 8,000円 ビジター 9,000円
(チケット、プログラム、セミナー謝礼分担金)
●募集人数:10名を想定
(8月3日)
13:40:舞台見学(人形遣い吉田幸助氏の引率案内)
14:30:文楽公演
鑑賞作品: お夏清十郎 五十年忌歌念仏(ごじゅうねんきうたねぶつ) 笠物狂の段
:鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)
浜の宮馬場の段、浅香市之進留守宅の段、数寄屋の段、岩木忠太兵衛屋敷の段、
伏見京橋妻敵討の段
17:30 終演 解散
●会費:ギリークラブ会員 8,000円 ビジター 9,000円
(チケット、プログラム、セミナー謝礼分担金)
●募集人数:10名を想定
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