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気楽な読書会 at 文庫Café 〜加賀乙彦氏に伺う「科学と宗教と死」〜 |
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気楽な読書会at 文庫Caféシリーズ第二弾です。
(シリーズに関してはこのページの最後に記します)
今回のテーマ新書はこれです。
『科学と宗教と死』
加賀乙彦著 定価735円(税込)
昭和4年に生まれ、空襲による無数の死体を見るなど「死」に衝撃を受けた幼年時代に始まり、医師として、また作家として常に死と向き合ってきた著者が、82歳の現在に至るまで続けてきた「死」についての思索の軌跡を綴る。3・11の東日本大震災後、もう先延ばしにできないと誰もが切実に考えるようになった根源的な問題、「どう生きるか」「いかに死を迎えるか」。その問いかけに、著者は自分がひとりの人間としてどう考え生きてきたか、率直に明かす。人間の生と死を考えるときに科学には限界があること、そしてその無限の暗黒を補うのが宗教であること……。大震災以降、ともすれば希望を見失いがちな状況が続いているが、困難にあっても前向きに生きる支えとなってくれる1冊。
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0624-c/index.html
「はじめに」
世の中が平和になり、豊かになり、医療技術が進歩していくにつれて、「死」はだんだん影が薄くなってきました。
厚生労働省が発表した二〇一〇年(平成二二)の日本人の平均寿命は、男性七九・六四歳、女性八六・三九歳。七〇歳で祝う「古稀」とは「古来、稀なり」という意味ですが、今や七〇歳を祝う人はちっとも稀ではありません。八〇歳まで生きるのが普通であるのなら、二〇代、三〇代はもちろん、五〇代の人にとっても死は遠い未来のことでしょう。
最期を病院で迎える人が増え、病気や死の始末は限られた人にまかされています。私たちは、本物の死から徐々に遠ざけられてきました。
その反面、現代には偽物の死があふれています。映画、テレビドラマ、アニメ、テレビゲーム……リセットすればまた生き返ることのできる、安心な死。実感のない死が蔓延しているようです。
二〇一〇年の七月、生きていれば一一一歳の男性が、実は約三〇年前に亡くなっていたことが発覚しました。これをきっかけに全国の自治体で高齢者の所在調査がスタートし、発表される所在不明者の数はどんどん増えていきました。生きていれば二〇〇歳、ショパンと同い年の人の戸籍が残っていたなど、大ぼらのような話が報道されています。
本物の死は隠され、実体のない、偽物の生が生きている。まさに現代を象徴するような事件です。
生きる者にとって、死は恐怖です。その恐怖から目を背け、死への不安を遠ざけ、あたかも自分がいつまでも死なないような錯覚におちいって生きていきたいと思ってしまうのです。
たくさん子供を産んで子孫を残したい、有名になって名を残したい、大金持ちになって安楽に暮らしたい、後世に残る仕事をしたい、肉体は滅びても魂は永遠に生きると信じたい……人間はみな必死に死にあらがって、永遠の生を求めています。
けれども、いくら寿命が伸びたとはいえ、確実に死はやってきます。今の世の中で、その現実を実感をもって受け止められるのは、私たちのような高齢者でしょう。
体は思うように動かなくなり、病院に通うことが増え、同年代の身近な人たちがぽつり、ぽつりと亡くなっていく。いよいよその日は近づいてきた、今日か明日か、いつお迎えが来てもおかしくない、と身に迫って感じられるようになってきます。
もう、死について考えることを先延ばしにできません。ところがそうなったときに、死はあまりにもベールに包まれていて、我が身の始末のつけ方がさっぱりわからない。そういう方も多いのではないでしょうか。
そこに、突如、私たちの想像力をはるかに超える大地震と大津波、東日本大震災という災害がやってきました。この大きな災害により、老いも若きも日本中の人々が「死」に直面しました。それまでの平和で豊かな時代、私たちを幸福に包んでいた安心で安全な世の中は一変してしまいました。その事態は今も収束することなく、これから私たちは何を選んでどう生きていくのかという非常に困難な問題をつきつけられています。日本は今、大きな曲がり角を曲がろうとしています。
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私はこの本を読み、先生にぜひお会いしたいと思いました。本を読むのと、直接お話を伺うのでは全く違いますし、科学、宗教、死、、、加賀先生のお話は深いです。
私のような年齢になると、訃報が増えてきます。友人の親はともかく、友人というケースもあり、悲しい事に「死」が身近になってきています。
「3.11」1周年の晩、陸前高田の和菓子屋さんと食事をし、津波の日の事、それからの事を聞きました。命を落とされた方、目の前で家族を失った方、身近な人の「死」を前にした人の強さと弱さ、現実の話を聞かせてもらうと、とても他人事ではありません。
私は幼少時、キリスト教の教会に通っていました。実家には仏壇、彼岸には菩提寺での法要に行っています。、伊勢神宮にはこの2年で5回も行っています。(なんと昨年3.11の14:46は伊勢神宮におりました。)
キリスト教、仏教、神道、、、、日本人的な多宗教信者ではありますが、どの宗教も「死」を考える時に大切です。
「3.11・1周年」と騒いでいる訳ではありませんが、こういう視点でも物事を考える必要があると感じた次第です。ぜひ多くの方にお読み頂きたい1冊です。
この会では、加賀先生にじっくりお話をして頂きたく、事前に皆様からの質問を頂戴して進めていきます。平日昼間の会ですが、貴重な時間になるかと思います。奮ってのご参加お待ちしています。
<参考サイト>
●集英社新書
http://shinsho.shueisha.co.jp/
●「科学と宗教と死」
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0624-c/index.html
<加賀 乙彦(かが おとひこ)氏プロフィール> 1929年、東京生まれ。東京大学医学部医学科卒業。東京拘置所医務技官を務めた後、精神医学および犯罪学研究のためフランス留学。帰国後、東京医科歯科大学助教授、上智大学教授を歴任。日本芸術院会員。『小説家が読むドストエフスキー』『悪魔のささやき』『不幸な国の幸福論』(以上集英社新書)の他、『永遠の都』『宣告』(以上新潮文庫)、『死刑囚の記録』(中公新書)など著書多数。2011年度文化功労者。 <気楽な読書会at 文庫Café 開始にあたって> 文庫カフェみねるばの森という店があります。寺島実郎さんの事務所、寺島文庫ビルの1階ですが、アカデミックなイベントをするのに最適な空間です。 名前は文庫ですが新書、書籍、映像などのテーマに、少人数で毎回のテーマに興味ある方が集まる場、ギリークラブの為にあるようなCafé だと思っていました。 いろんな出版社や作家の方、コンテンツホルダーの方に、「この場所で新しい形の読書会、交流会を」と提案しています。著者、編集者、読者、関係者が一堂に会する会場です。 ギリークラブでも過去に実施している形式ですが、著者の方に、直接質問したり感想を言い合える場、書ききれなかった事や、「その後」が聞ける貴重な時間になります。 |
実施概要
気楽な読書会 at 文庫Café 〜加賀乙彦氏に伺う「科学と宗教と死」〜 | |
日時 |
4月9日(月)15:00〜17:00 (14:15 受付開始) |
会場 |
文庫カフェみねるばの森(千代田区九段北1-9-17寺島文庫ビル1F) 地下鉄東西線・半蔵門線・都営新宿線 九段下駅(5番出口)徒歩3分 JR・各地下鉄線 飯田橋駅 徒歩7分 http://www.terashima-bunko.com/bunko-cafe/access.html |
ゲスト |
加賀乙彦氏(小説家、精神科医) |
会費 | 正会員 1名2,000円 同伴ビジター 4,000円 |
参加人数 | 申込先着順 20名限定(正会員優先です) |
締切 |
4月6日(金) |