<GILLIE>株式会社ギリー
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Fauchon ヌーヴォー

<ご報告>


食料品店としてのFAUCHON(フォション)の現実を学び、我々のビジネスや生活に活用したいという思いで、この企画は始まっています。
9月に一回目を実施、10月にはパリの本店と工場も見せて頂きましたが、詳しい案内付で見学させて頂くと、本当に123年も続いているこの食料品店の凄さ、素晴らしさが分かります。
こんな店は日本にはありません。と絶賛しているだけでは悔しいので、順番にお聞きし、そして食べ・飲み・関係者と交流していきたいと思っています。

彼らの商品を順番に研究し味わってしまいましょう。その体験から感じる事は沢山あると確信しています。

ただ、会場の都合で厳しい人数制限がありますので、ごく内輪のメンバーで実施するという申し訳ない状態です。当日の内容をサイトでレポートしますので、どうぞ参考になさって下さい。そして、ご自身で行かれて、FAUCHONを実体験して下さい。

ただ、サイトだけではやはり不十分であると分かっておりますので、今後の進め方も工夫していきたいと思っています。

今回はセミナー、試飲・試食に続いて、フォションのシェフ、ニコラさんの案内でショップ見学ツアーも実施しました。案内付で行くと本当によくわかり、全部買いたくなってしまいます。いかんいかん、という感じです。でも食べ比べ、飲み比べのヒントも沢山あります。

まずは11月のFAUCHONヌーヴォーのレポートをお読みください。担当ライターは工藤史歩さんです。

 グルメに興味のある人なら、知らない人はいないフランスの高級食料品店フォション。123年の歴史を誇る、フランスを代表する食料品のセレクトショップです。そのフォションと共同企画が、ギリークラブで始まっています。フォションを知ることは、フランスの食文化を知ること。今後も不定期にはなりますが、連続して開催していきます。

 第二回目となる今回は、11月20日、ボージョレ・ヌーボー解禁日の翌日に「ボージョレ・ヌーボーとフードを楽しむFAUCHON」と題して開催されました。なぜ、解禁日当日ではなく翌日かといえば、それには理由があります。ボージョレ・ヌーボーは解禁日を迎えるまで栓を開けることができません。「木曜日に栓を開けてからエクレアのレシピを最終調整しました。ですから昨日はギリークラブを開催できなかったのです」と、フォション アジアパシフィック ディベロップメントシェフのニコラさん。そう、今回のギリークラブでは、フォションの代名詞エクレアの、今年のボージョレ・ヌーボーを使った新作が、初めてお披露目されたのです。

 今回は人数をぐっと抑え、サロン・スタイルで行われました。「明日からウィークエンド。くつろいだ気分でボージョレ・ヌーボーを味わってください」とニコラさんもタイ無しで参加です。まずはさっそくボージョレ・ヌーボーが注がれます。19日に飲んだ参加者もいれば、これが今年初の参加者も。ちなみに、フォションのボージョレはヴィラージュです。
 ちなみに、9のつく年はワインの当たり年と言われます。とりわけ今年はとにかく天候に恵まれ、雨量もほどよく、健全な状態のぶどうを収穫ができたそう。この夏は気温が高く、特に8月は猛暑で、地面の温度は42度にもなったと言われています。ぶどうの糖度が1日で1度も上がったと日もあるそうです。みなさんもニュースなどでご存じだと思いますが、今年のボージョレ・ヌーボーは、50年に1度の出来だそうです。

 さて、そんな期待の年のフォションのボージョレ・ヴィラージュは?

 これまで親しみのあるボージョレ・ヌーボーは、果実にたとえるなら、フランボワーズやさくらんぼといった、軽やかで透明感のある明るい赤色が特徴。けれども今年は、カシスやベリーを思わせる、ぐっと深みがある果実色です。香りは、フランベしたバナナやブラックチェリーを思わせます。味わいはボリューム感があって、深く豊か。タンニンもしっかり感じ取れます。

 これに合わせて登場したのは、フォション自慢のテリーヌとバゲット。フランスではおなじみのスタイル「アペリティフ」を楽しもうという趣向です。フォションでは2種類のジビエのテリーヌとフォアグラのテリーヌを、使いやすい瓶詰めで提供しています。
 「日本では、あまりアペリティフの習慣はありませんが、フランスでは、食事の前にお酒と軽いおつまみで、アペリティフを楽しみながらおしゃべりをよくします」とニコラさん。パテはアペリティフの人気おつまみだそうです。ほかにカスクルート(バゲットのサンドイッチ)やシャルキュトリ(肉加工品)なども定番です。

 今回登場したのは、いのししのテリーヌと野うさぎのテリーヌです。ナイフで皿に取り分けたら、たっぷりバゲットに塗ってかじりつきます。日本人的には、つい手を加えたくなりますが「加熱したりせず、そのまま食べます。添え物も特にしません。ピクルスなんて添えてもワインに合わないからね!」とニコラさん。ジビエ特有の風味と強い脂が、ボージョレ・ヴィラージュによく合います。ちなみにフランス・マドレーヌの本店には、棚にずらりとたくさんの種類のテリーヌが並んでいるそうです。

 普通、アペリティフに飲まれるのは、フルーティーな白ワインやシェリー。ボージョレ・ヌーボーもアペリティフになりますが、今年のボージョレ・ヴィラージュは、食前酒にごくごく飲むのはもったいないほどの存在感。このまま食中酒にしたくなります。

 ニコラさんのおすすめは、ボージョレ・ヴィラージュは14度くらいまで冷やして飲むこと。冷やしすぎると香りが立たなくなってしまいますが、ふつうの赤ワイン(室温=18度)より少し冷やしたほうが、果実味が際立つようです。ボージョレ・ヌーボーなら11度くらいまで冷やしてもいいそうです。

 ちなみに、ボージョレ・ヌーボーは早飲みするために早摘みのガメイで醸されるワインですが、とりわけよい年は、エイジングをするそう。樽で3〜5年、長ければ20年も寝かせるそうです。2029年に、飲むことができるでしょうか?

 ここで、ボージョレ・ヌーボーの解禁に合わせて発売された「パン・ド・エピ」が登場しました。濃厚なカベルネ・ソーヴィニョンを1/10量になるまで煮詰めてパン生地に練り込んだ酸味とコクのある生地に、ジューシーなベーコンとセミドライアップルをアクセントに加えた、新作パンです。

 ニコラさんからは、なぜボージョレ・ヌーボーが、ここまで広まったかのレクチャーもありました。ご存じの方も多いと思いますが、それには仕掛け人がいるんです。ボージョレ・ヌーボーの帝王として知られる、ジョルジュ・デュブッフさんです。

 ところで、一般的にワインは、ぶどうを収穫してから絞って発酵させ、その後、何か月も何年も熟成させてから、ようやく市場にリリースされます。つまり、ヌーボーは、ぶどうを収穫したその年の秋に飲むために、普通のワインとは違う醸造法で造られる特別なワインなのです。でも、こうした新酒は、ボージョレだけでなく、ワイン産地の至る所で古くから造られています。

 というのも、保存技術のなかった昔(ボージョレは500年前からヌーボーを造っていました)、ワインは夏を越すことができませんでした。ワインのない夏を乗り切り、やっと飲める新酒。そのために、早くワインを造る技術が確立されたのです。 そんな新酒(ヌーボー)のなかで、ボージョレ地方のものだけが、ここまでポピュラーになった理由。その立役者が、デュブッフさんです。

 ジョルジュ・デュブッフさんは、それまで田舎のワインに過ぎなかったボージョレを世に広めようと、70年代後半頃から、解禁イベントとセットにして、「スナックやライトフードに合わせるカジュアルなライトドリンク」として、地道なプロモーションを続けていました。

 その甲斐あって、まずパリでブームが起き、フランス中に広まり、ワールドワイドなキャンペーン活動の影響でロンドン、ニューヨーク、そしてバブル期の日本に飛び火して、90年代初頭の日本でひとつの頂点を迎えたと言われています。「カジュアルな飲み方の提案と、特別なイベント感が、受け入れられました」とニコラさん。

 ちなみに、ボージョレ地方でガメイという葡萄品種が造られるようになったのには、ブルゴーニュ公国の勢力争いが関係しているそうです。その流れがいま現在まで受け継がれているそうです。

 フランスのワイン文化の一端を理解したところで、いよいよエクレアの登場です。美しいぶどう色のエクレアの中には、ボージョレ・ヴィラージュをベースに刻んだりんごで酸味のバランスを取ったジュレが詰まっています。つやつやしたタピオカをぶどうの実に見立てたデザインも、ひと際目を引きます。

 先だって、フォションの本店を視察してきたという渡辺さん。本店を訪れたことで、世に美食文化をもたらしたフォションの奥深さ、歴史に裏打ちされた底力を、さらに実感したそうです。豊富な写真をお見せする、本店訪問報告会も、追って開催する予定です。