「超初心者が日本料理を知る」
〜日本料理って何?と聞かれて答えられる講座、2回シリーズ〜
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<ご報告>
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「日本料理とは何か?」
日本料理を知る2回シリーズ、本当に意味のあるものになりました。地味なので参加者は少なかったのですが、「参加した人の勝ち!」となりました。
以下に工藤史歩さんのレポートを記載しますので、参加出来なかった方も様子を想像して下さい。でも・・・やはり現場で聞き、見て、質問し、、そして料理を食べた方は、価値ある体験だったと思います。
ご一読ください。
渡辺幸裕
前回、第一回で、日本料理とは「季節や自然を写し取り」、五味・五色・五法の「調和である」 と、ひとつの答えを提示した西澤辰男先生。
第二回目は、世界を見渡しても日本料理にしかない大きな特徴で、とは切っても切り離せない存在ー「器」について学びます。
日本料理とは「季節や自然を写し取り」、それを料理と「器」で表現したもの。どちらが欠けても、日本料理は成り立たないのです。この夜も、ドラマティックなレクチャーが展開されました。
器(焼きもの)の名称は
1) 青磁、白磁など作り方の違いからくるもの
2) 信楽、瀬戸など産地名や窯場名にちなんだもの
3) 仁清、乾山など作り手の名によるもの
4) 織部、天目など故事来歴にちなんだ愛称など
の4つに大きく分けられます。
日本料理では、ひと月に1度から節句ごとに器が変わり、それに合わせて献立も変わります。たとえば夏なら青磁や青白磁、ギヤマン(クリスタル)などが使われ、涼しさを表現。冬には、温かみのある土もの(陶器)を用い、あったかみを表現するのが日本料理です。
器には、青磁や青白磁などすっきりとしたものと、九谷や有田など絵柄が強いものがあり、絵柄が強い場合は盛り付けが難しく、料理が映えない器ともいうそうです。逆に刷毛目などは季節も問わず、料理も選ばないため、使いやすいそうです。
日本料理に必要なのは「料理と器の調和」。料理に器を合わせるか、器があって献立を合わせていく組み立て方があります。
献立を新暦で表現するか、旧暦で表現するかも料理人にかかっています。旧暦は月の満ち欠けにより決まり、そのなかで旬のものを献立に組み込みます。
器の柄やかたち、釉薬によっても季節を表現できます。たとえば菊なら重陽の節句のころ、ひょうたんなら夏、割山椒なら秋口に使います。桜と紅葉とを配した「雲錦手」のように春と秋に使える文様もあります。
料理人と器の関係は、茶人と器の関係に由来します。料理や茶を楽しむ茶人と、茶人の遊び心から生まれた注文に応える陶芸家により、料理と器は、車の両輪のように、共に発達していきました。たとえば、花びらを模して器にアクセントを与える「輪花(りんか」の縁取りなどは、茶人の遊び心から生まれた美しい器です。
器の文様は、安土桃山時代にだいたい完成されたそうです。たとえば京焼きを完成させたといわれているのは仁清ですが、その「写し」が繰り返され、現在まで文様が継承されています。かの有名な北大路魯山人は、茶人であり料理人であり美食家であり陶芸家であったため、仁清や乾山の写しを、料理や食べ手に合った大きさにつくりかえ、名を馳せました。
さらに、陶器と磁器のほかに、日本料理には漆器もあります。かたちも丸、四角、だ円、前出の輪花や割山椒など、さまざまなバリエーションがあり、それらを陰陽を考えながら組み合わせていくのが、日本料理の醍醐味です。
ちなみに、このレクチャーはすべて実物の器を見ながら行われました。ふだん、懐石料理や会席料理のお店で、何気なく目にしている器が、何であったのか腑に落ちる気持ちよさ。みなさんも、このリポートを写真と合わせて読んでいただければと思います。
もうひとつ、この夜は日本料理のさまざまな包丁についても学びました。日本料理の包丁の特徴は「片刃」であること。切るものによってさまざまに長さやかたちの異なる片刃の包丁を使い分けます。
その一例として、ハモの骨切りを間近で実演していただきました。
さて、いつものことながら、もうひとつのお楽しみがこちら。参加者が「割烹 にしざわ」と命名する、有名割烹料理店をもはるかに凌ぐ、西澤先生の料理です。
「西澤先生が、お店をやってくれればいいのに」というファンも多いのですが、残念ながら、その予定はないそう。普段、学園で生徒に料理を食べさせることもなければ、家庭で手をかけた料理をする時間もないそうです。つまり、西澤先生の料理の真髄を味わえるのは、ギリークラブだけです。
それでは、垂涎の献立を、器とともにどうぞ。
先付 胡麻豆腐 + 独楽茶碗
椀 ハモ(椀だね ハモ/椀づま じゅん菜/吸い口 青柚子)+ 魯山人写し日月椀
刺身 カツオ アオリイカ
ツマーミョウガ、紅だて、ハマボウフウ
山葵、ショウガ、ポン酢を添えて + 織部の千鳥
焼物代わり 賀茂茄子のしぎやき
大葉、海苔、かつおを添えて + くらわんか
食事 鶏ガラの出汁で炊いた石川小芋の炊き込みご飯 + 有田
赤出汁(高野豆腐)
すばらし〜い食事の後、さらに一同が歓声を上げたのが、これです。
甘味 青梅と梅干しの甘露煮 氷に見立てた寒天 + 刷毛目
写真を見ていただければ・・・砕いた氷に浮かぶ、涼しげで爽やかな梅・・・にしか見えません。ところが、これ、氷は約半分。砕いた氷に見立てた、ほんのり甘い寒天が、氷に挟まれてひんやり冷えています。
3日がかりで、つやつやした青色を残しながら、ゆっくり煮含めた走りの青梅。しつこいですが、最後にもう一度、「季節や自然を写し取る」日本料理の真髄です。ほんとうに、ほんとうに綺麗な甘味でした。
西澤先生の料理は、しっかりと出汁の旨味とコクを引き出し、塩味を押さえた、品のよい味つけが特徴。特に、彩りの美しさには、毎回のことながら、感動します。
また、前回に引き続き、今回も素敵なサプライズがありました。
リピーターの参加者に言わせると、「割烹にしざわ」の唯一残念なところは、学校なのでお酒が飲めないところ・・・・・・だったのです。それを知った旭酒造代表取締役社長の桜井博志氏が、今回は参加できないにも関わらず、かの銘酒「獺祭」をプレゼントしてくださったのです。西澤先生の料理と銘酒、極上のマリアージュを堪能できました。
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<ご案内>
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服部・ギリー塾でお馴染、服部学園の西澤先生は東京吉兆出身です。学校で日本料理を教えていらっしゃいますが、腕の良い料理人なんだと吉兆さんから聞いています。
日本料理を調理師学校の生徒に教えるという事は、料理が出来るだけでなく幅広い知識と教養が必要、生徒から聞かれる事に答えるのですから・・・大変です。
そんな西澤先生に前からやりたいと思っていた事を相談し、かつ服部先生に「ぜひ共催して欲しい」とお願いし実現しました。日本人なら知っておきたい日本料理を学ぶ会です。
「日本料理って何?」と聞かれて答えられますか?
日本は四季が明確で、各地の旬の食材を使った献立が豊富。明治以前は獣を食べなかったので、味つけが淡白。『出汁(だし)』と『醤油』による味つけが大きな特徴。盛りつけや器にも季節感や美を感じさせ、見て楽しめる繊細さがある。
そう、本当に答え方は難しいのですが、この会では一緒に学び、それも食べましょう。
世界では寿司の大ブーム、日本料理店は花盛りです。昨年、一昨年と日本料理啓蒙イベントで、パリに数回行きましたが、この街には本当に日本料理屋さんが多いのです。日本人以外の方が経営、お客も日本人ではない方々です。
我々からすると「え?」と思うような寿司もありますが、それをカップルの方やご家族連れ、仕事仲間のような方が、美味しそうに、楽しそうに食べていらっしゃるのです。
食の国際化とはこういうものだと、目の前に突き付けられましたが、我々のご先祖様がどんなものを食べて来たのか、自国の料理の認識、特徴の理解をして自ら食べ、そして胸を張って説明出来る所まで学びたいと思います。
学園の教科書を特別に購入させて頂き読みましたが、当たり前ですが2回では分からない事が沢山です。でも、まずは今回はこの内容で実施してみます。
自国文化としての日本料理を知りたい方には、大変貴重な情報になると思います。(専門書を読んだら本当に大変です)
料理評論家や料理人になるつもりもないと思いますが、今後他の方に説明するだけでなく、自分が豊かになります。漫然と食べて来たのが、なるほどと分かる事も多いかと思います。
しっかり知って、次の世代に引き継ぎましょう。奮ってのご参加お待ちしています。2回の方が良く分かると思いますが、単発の参加でも結構です。
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<参考サイト>
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●服部学園 服部栄養専門学校
http://www.hattori.ac.jp
●日本料理(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/
●日本かぶれ(渡辺が以前に連載した日経ビジネスアソシエの記事)日本料理編
http://nba.nikkeibp.co.jp/yamatokabure/1st/03.pdf
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<実施概要>
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●「超初心者が日本料理を知る」
〜日本料理って何?と聞かれて答えられる講座、2回シリーズ〜
料理教室ではなく、日本料理の何たるかを学び、美味しいものを食べます。
●共催:服部学園
●日時:
・第一回:6月8日(火) 19:00〜21:00
<講座内容>
日本料理の歴史、流れ、種類
日本料理の食材(1)「野菜類」
<食べるもの>
鮎の塩焼き
野菜の炊き合わせ
を入れた、6月に美味しい日本ならでは料理
・第二回:6月14日(月) 19:00〜21:00
<講義内容>
日本料理の調理法・道具と器
日本料理の食材(2)「魚介類」
<食べるもの>
鱧 (骨切りの実演もお願いしてします)
賀茂茄子など京野菜の料理
を入れた、6月に美味しい日本ならでは料理
●会場 服部栄養専門学校 別館6階試食室
渋谷区千駄ヶ谷5-25-4 TEL 03-3356-7171
http://www.hattori.ac.jp/access/index.html
●講師:西澤辰男先生(服部調理専門学校 調理技術部 日本料理)
●募集:各回20名限定
●会費:各回、正会員8,000円 ビジター 10,000円
●締切:
第一回:6月4日(金)
第二回:6月10日(木)
(それ以前でも満員の際には締め切ることもあります。)
※満員の際、キャンセル待ちは可能です。
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