ギリーあらかると

■2006年12月掲載の情報

12月の六義園

今年はちょっと紅葉が遅くて12月になってきれいになりました。この庭園まで自宅から歩けるのは、本当に幸せなことです。12月初旬の月曜の朝、ちょっと歩いて行ってきましたが、こういうことが自由業の醍醐味ですね。

とても都心とは思えないこの庭園では、季節を感じることが出来ます。毎日の仕事に忙殺され、メールやネットに追われる毎日、でもふと気がつくと、季節は確実に巡ってきています。

蝉がうるさいほど鳴いていた季節から、そんな経っていない気がしても、実は葉っぱは、徐々に赤や黄色に色を変えています。紅葉が終わりかけ、ちょっと黒ずんだ葉っぱを見ると、本当の真紅の紅葉よりも、感じさせる、考えさせられるものがあります。

池坊専応という戦国時代の華人が、花の一生に人生を感じ、華道というものを始めたという話を思い出しました。それぞれの時期の綺麗さ、無常さを感じるのは、自分が日本人だからだろうな、と思います。

紅葉した葉だけでなく、常緑樹も、池の水も、花も、虫も、微妙にその季節で異なります。

『日本庭園は行く季節、時間によって違う顔がある』本当にその通り、いろんな新しい発見があります。

■2006年8月掲載の情報

青柳』の主人、小山裕久氏、ご存知の方も多いかと思います。
日本料理界の巨匠と呼ぶと、ご本人は違うとおっしゃるかもしれませんが、内閣官房コンテンツ専門調査会委員として、日本ブランドや知的財産の確立に向けて活動されています。

徳島の料亭の子供として生まれ幼少時から日本文化に囲まれて育った小山氏は、大阪『吉兆』での修行の後『青柳』へ帰り、日本料理の追及という奥深い活動をしながら、内外の一流料理人との親交を広め、日本の伝統を重んじた料理をつくる一方で、新しい日本料理へも挑戦し続けています。

四季のはっきりした日本に生まれたからこそ、季節を楽しむ為にその時期に旨いものを知る、という企画が進行中です。自分が如何に日本料理を知らないかという事実を突きつけられ、苦戦の連続ですが、毎月の旨いものを巨匠から直接教えて頂くという、大変ですが充実した1年が進行中、有難いことです。

その小山氏の新しい著書、『古今料理集』が7月20日に上梓されました。彼が「婦人画報」誌に10年に渡って連載してきたうちから一部を厳選して編集した豪華本ですが、何と重さが4キロもあります。
本を評価するのに重量を出すもの変ですが、407ページの分厚い本の中に、それだけ重い内容、小山氏の日本料理に対する姿勢、思いというものがこの1冊に込められています。

大変な点数の料理、使われている器も素晴らしいのですが、それぞれの料理の解説、どのように作っているかは勿論ですが、読むとその料理が食べたくなります。贅沢な時間が過ごせます。

料理人の方や専門家の方からの注文が入っているというのが分かる気がしますが、我々一般人にとっても大変楽しく、また味わいある時間が過ごせる本です。ぜひお手にとっていただければと思います。

但しこの本は限定出版であり、一般書店では購入できません。ご希望の方は下記までお問い合わせ下さい。

青柳:Tel 088(622)3405/Fax 088(652)1401
虎ノ門青柳: Tel 03(3580)3456/Fax 03(3502)6911
アシェット婦人画報社 書籍編集部: Tel 03-3501-6223/Fax 03-3506-6619

書名:古今料理集
著者:小山裕久
発行:アシェット婦人画報社
価格: 26,000円+消費税
発行部数: 500部限定

■2006年6月掲載の情報

田崎真也さんにお願いしてシリーズで展開しているギリークラブの名物シリーズ、「料理とワインの組み合わせ」、10回目が4月22日に田崎さんのワインレストラン「S」で行われました。

いつもは食前酒に加えて、白ワイン4種類、赤ワイン4種類を飲み比べるのですが、今回はなんとロゼワインが10種でした。食膳のスパークリングワイン、食後の甘味デザートワインもロゼ、ずらりと並んだグラスとボトルを見てください。微妙に異なる色合い、これが色だけではないのですよね。

それぞれのワインの味や香りを表現するとなるとこれは大変なのですが、これだけの種類のロゼワインを飲むのはプロのソムリエでもないこと、45名のご参加者と一緒に渡辺もめちゃくちゃ堪能した1日でした。凄かった!美味しかった!そして、楽しかった!

料理がまた凄いのです。桜の香りを漬け込んだ鯛(桜餅の発想?)、様々な場所の豚肉と格闘する皆さんの結構必至な表情、デザートも桜尽くし、なんとパンにまで桜が入っていたのです。桜や桃にこだわって、ワインと料理を組み合わせる、何と楽しくて贅沢な時間なのでしょうか。

こういう凄い実体験をされた方は初対面同士でもとても仲良くなるのですね。時間が経つうちに、あの田崎さんがそばに居てくれるのも忘れて、同席者同士で盛り上がってしまうのです。全く初対面の方同士が毎回こうなのですから、これぞ「田崎マジック」ですね。

田崎真也氏のこだわりと遊び心、そして厨房の中は戦闘状態であってでしょうが、奮闘してくれた料理人の皆様、短時間で数多くのワインと料理を笑顔で提供してくれた多川さんはじめサービススタッフの方々、「S」の皆様の最上のホスピタリティー、本当に素晴らしいおもてなしに心より感謝です。

我々は単に飲んで、食べて、盛り上がっていただけですが、こういう時間を提供していただいた多くの方のご努力で、こういう素晴らしい3時間がもてたと、参加者一同酔いと興奮が醒めたあとは、感謝の気持ちをかみ締めたのでした。

本当に「S」は素晴らしいお店です。ぜひご予約のうえご訪問下さい。
店のマネージャーは多川 宏氏です。

ワインレストラン「S」
港区西新橋3-15-12 西新橋JLビル TEL:03-5733-3212
http://www.tasaki-shinya.com/

■2006年4月掲載の情報

京都 東福寺方丈庭園です。

日経アソシエの連載「日本かぶれ」の取材で日本庭園を取り上げました。
その時庭園学者の方にお話を聞いて以来機会があるごとに庭を見ています。

東福寺は京都駅からタクシーで1メーターほどの距離、ちょっと時間があったら訪れて眺める庭として、とても気に入っています。

枯山水庭園の代表でもありますが、これを作庭した重森三鈴(しげもりみれい)氏、昭和の名人と呼ばれていますが、素晴らしいものです。
時間があったら彼のことをお調べ頂ければ大いに価値があるかと思います。すごい人です。

それで東福寺、今回は2月末の週末に行ってきました。
昨年は若葉の時期と盛夏に訪問しましたが、今は立春を過ぎたとはいえまだ冬景色です。
「日本庭園はおとづれる時期、時間によってまったく表情が違う」
そんな話を聞いてからは庭の見方も変わりましたし、行く機会も増えています。

この庭園の特徴は4つの異なる庭園が方丈を取り囲んでいることでもあります。
特に市松模様の庭園は見る人をはっとさせます。
新しくて、古い、懐かしい気持ちにさせる園です。

方丈前の廊下に座って、ぼんやり枯山水庭園を眺める。
今回は土曜日の午前中、陽だまりのなかで・・・至福の時間でした。
過密ダイヤで走る日々の生活から、なんか人間らしい時に戻った気がします。

たまにはこういうことも必要だな、と思わされます。
自分は日本人だな、とつくづく感じる時間です。

■2006年2月掲載の情報

冬の六義園

自宅から歩いていける名園です。
五大将軍綱吉の側用人として名高い柳沢吉保が作った名園です。

日本庭園の中でも治水回遊式庭園というジャンルに分類されていますが、
回遊式というように、歩いて行くと見る場所によって景色が変わっていきます。

そして今はこういう冬景色ですが、季節が変わると花も木々も変わりますし、朝、昼、夕方、時間によってもまったく光景が変わるのです。

季節、時間によって景色が違うのはどこでも同じこと。何も日本庭園ばかりではなく、通勤途上でも感じようと思えばご近所の庭木、ベランダの植栽も季節を感じさせてくれます。そのような余裕を少しばかり持ちたいものです。

■2006年1月掲載の情報

2006年になりました。
今年は喪に服しておりますので、門松もお節料理もない正月で、それはそれで新鮮な年明けの日々をすごしました。

1月3日に家から歩いていける名園“六義園”に行きましたら、たまたま小金井市無形文化財指定 目黒流 貫井囃子保存会のパフォーマンスに遭遇しました。
あ、獅子舞だ、と思ったらそうではなかったのです。獅子の中からお面姿が現れ、そうするうちに数人の面装束の人物が、そして子供も!面の写真だけ見るとよく分からないのですが、とても可愛かったのです。

調べてみたらこんなホームページがありました。
http://www.nukui-hayashi.com/
正月から楽しいお囃子を見せていただき、とてもラッキーでした。
寒い日ではありましたが青く晴れ渡った六義園、お正月らしいすがすがしい気分になり、素敵な時間をすごしました。

今年もがんばりましょう。

渡辺幸裕

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