ギリーあらかると

■2013年8月掲載の情報

伊勢神宮 式年遷宮

8月1日、2日と伊勢神宮の式年遷宮行事の一つ、お白石持行事に参加させて頂きました。ご縁の出来た伊勢の方のお誘いで、素晴らしい体験をさせて頂き、心より感謝しております。今回も素晴らしい出会いがありました。

1日は考え抜かれたプログラムで様々な場所にお連れ頂きました。それぞれ凄いのですが、特に驚いたのが晩の結団式で、木遣りを唄う木遣子(きやりこ)が「明日はこのようにしますので、皆さん練習しましょう」と唄ってくれた時の事です。三重大学大学院生という大人しそうなお嬢さんが、にこにこした表情から一変して凄い迫力。その木遣りに度肝を抜かれました。

20年前小さい子供だった時に聞いた体験が彼女の中にずっと残っていたのでしょう、今回の式年遷宮に向けて2年位前から練習を始め、腹から声を出す発声法や、様々な違うパターンがある木遣りを学んだそうです。

楽譜というものは存在せず、代々続く歌唱法、歌詞を口伝で習っているそうで、出発時、奉曳き中、宇治橋到着時にそれぞれの木遣、各団ごとに違う木遣、20年に一回生声を現場で聞いた者勝ちです。本当に感銘を受けました。

式年遷宮は今回が62回目、20年に一回ですから単純な掛け算でも1240年、戦国時代や太平洋戦争中、戦後の困難な時代には出来なかった年もあるので、本当に長い間、大変な事が続いています。祭りは大体年に1度、オリンピックやワールドカップでも4年に一度です。この20年に一度というのがどんな意味なのか素人の私には分かるはずもありませんが、技術や芸能を次代へ伝承するという意味でも、特筆すべきだと思いました。

奉曳の縄の持ち方、曳き方にも技倆があります。「縄を腰より下にしないで下さい!危ないですから」という注意。休憩時に縄を地面につけない道具の存在、担当がその時になると的確な場所に持って来て設置する。何気無く見捨てると分からないノウハウが一杯です。出発時、到着時の縄の出し方、収納の仕方も初めて見ましたが、その手際の良さに脱帽です。これが伝統の力であり、長年伊勢の神宮様を支えている神領民のプライドでしょう。

我々一日神領民、多分観光気分で来ている人も沢山居るんでしょうが、わざわざ伊勢神宮に来て頂いたのだからとの気配り、準備が凄い。黄色い腕章の救護班、水、お茶、清涼飲料水、塩分補給タブレットなどの配布、ごみの回収、列の最後尾にはほうきと塵取りを持ったスイーパーが!伊勢の人は本当に素晴らしいです。日本の誇りです。

お伊勢参りという言葉がある通り、昔から観光客、参拝客を迎えて来たお土地柄、よそ者、素人に対する接し方が優しいです。少なくともこれで儲けようなどと不埒な事を思うのは他の地方出身者です。奉曳きを見守る伊勢の方の視線は観光客のそれとは明らかに違います。こちらが疲れていると見るや列の外から「エンヤー!」の声が絶妙なタイミングでかかります。物凄い温かさです。ここにも伊勢の凄さを見つけました。

これらは自分が見聞きしたほんの少しだけの事、もっともっとあるのは分かります。何があるのかは分かりませんが。何故20年前に自分が反応しなかったのか、これを思うと悔しいです。もっと日本人に生まれた事を誇りに思ったでしょう。でも今回ご縁が出来て貴重な経験をさせて頂きました。多くの人にこれを自分なりの方法で伝え、お世話になった伊勢の方達、これを聞いた方のこれからの生き方の役にたてればと思っています。

普段は天皇陛下しか入れないご正宮の中は、檜の香り、綺麗にふかれた茅葺の屋根、太陽にきらきら輝く10本の鰹木、真新しい唯一神明作りのお社に言葉もありません。参加者全員厳かな表情で、自分が持ってきた白い石を丁寧に敷き詰めましたが、撮影は厳禁、光景と気持ちは心に焼き付けてきました。

奉曳きは迫力ある木遣りと、「エンヤー! エンヤー!」の掛け声で宇治橋まで運び、その後は一転して厳かな奉献、動と静、双方味わいました。めちゃめちゃ暑い中、水分と塩分を取りながら、引っ張りました。自分でも頑張ったなぁと思いますが、単なる疲労ではない凛として清々しい気分に満ちました。お伊勢様に心より感謝です。

これらの凄さや素晴らしさは体験しなかった人には絶対に分かりません。映像や写真、文章では伝わりません。ましてやソーシャルメディアでは断片的な情報だけです。海外旅行での経験を、行かなかった人に話す時の虚しさ、逆に他人の旅行話しを聞く時のテンションダウン、それぐらい体験の有無での興奮度が異なります。淡々とその凄さと素晴らしさ、意味する事と、伝承をする大切さを、微力ながら伝えたいと思っています。

ギリークラブを始めた12年前、「擬似体験の多い時代、現場に出向き、現実と出会い実体験する、直接聞き、話せる場に案内します」と書いたのは自分ですし、それを実践しながらもう1350回です。今回もその意を更に強く再確認しました。

昨日(8月2日)は内宮のお白石持行事でしたが、25日に外宮のお白石持行事にも参加させて頂きます。これには30名の文化人をお連れします。自分も会員になっている日本文化デザインフォーラムのメンバーをお誘いしましたが、感性の鋭い方、影響力の強い方に実体験して貰い彼らの反応、そして発信がどのようになるのか、楽しみです。

■2013年7月掲載の情報

モンフジ

ルコントの会で出して頂いたケーキです。名前は“モンフジ”富士山です。パティシエ・シマの島田 進シェフが指導、ルコントのパティシエチーム渾身の力作です。凄い!
30人分もある大きなケーキですが、アンドレ・ルコントさんが1986年の東京サミットでお出ししたものの再現、写真を見せて頂きましたが、これより遥かに大きなケーキでした。

大切な事は「全部食べられる事」「どこを食べても美味しい事」だそうです。切る場所によってバランスが違うのでそれぞれ味わいは微妙に異なるのですが、どこをどう切っても美味しいのです。実際食べた人皆が飛びっきりの笑顔になっていました。富士山が世界遺産になったからその記念でお作り頂いたのですが、現物を見た人勝ち、食べた人勝ちですね。

お値段は?と聞いたら、「こういうお菓子を頼む人はお金などを気にしないのですよ」と言われ、ぎゃふん。材料費、人件費は勿論ですが、どこにどうやって運ぶか、それを綺麗に切り分けられる人が必要だし、と聞いて納得です。欧米のスーパーブランドなどのパーティーの演出としてもケーキはとても重要なアイテムだそうです。

渡辺がサントリー勤務時、世界マッチプレイ選手権というゴルフトーナメントの担当でロンドンに通っていた時代があります。会場であるウェントワースクラブのパティシエが、トーナメント終了後の打ち上げパーティでサントリーにケーキをプレゼントしてくれるのですが、それが毎回アイディアに溢れ、「今年はどんなものだろう?」と楽しみに待っていたのを思い出しました。

また、ギリークラブ歌舞伎の会で「毛抜」を観たあとの懇親会にサプライズで“毛抜き形ケーキ”を出したことがあるのですが、パティスリー・スルーリの岡村尚之シェフが「毛抜き形のケーキですか?」と驚きながらも、可愛く、美味しく焼いていただいた事を思い出しました。その写真も付けます。(私は若いですね!)

日本のフランス菓子黎明期に、様々な基本を教えてくれたルコントさん、彼の言った事、やった事をお聞きし、食べ、そしてそこから学ぶというシリーズ、ちょっとマニアックですが、お菓子作りだけでなく全ての仕事に通じる、お客様に楽しんで頂くプロとしての技術、気持ち、心構え、、、本当に勉強になります。ルコントさんの弟子である島田進シェフのお話しが大変面白く、どんどん聞いてしまい、ご参加の方と一緒に楽しんでおります。

ギリーは7月4日が12回目の独立記念日でした。
今後も楽しみながらも意味がある事で、皆様のお役にたてるよう、様々な場面にご案内したいと思っています。

■2013年1月掲載の情報

ストックホルムの年越し

2013年最初の写真はストックホルムの年越しです。
今年は北欧ストックホルムで年越しをしました。長女がストックホルム在住であり、久しぶりに家族が集まり、大変寒い中ですが、嬉しい時間を過ごしてきました。
冬のスウェーデンは当然寒くて暗いですが、それだけにライトアップや照明の演出は息をのむほど美しいです。私は素人ですからそれをうまく表現できませんが、その後訪問したパリの、豪華で洒落た装飾に比べると、素朴な中にも透明感がある、そんな感じの冬のストックホルムでした。
新年を迎えるカウントダウン直後、ライトアップと電飾で飾られた街に花火が盛大にあがり、多くの教会の鐘が鳴り響きましたが、窓越しから見た北国の街並みと花火が水に映る光景は本当に美しく、こんな体験で迎えた2013年は特に良い事があるのではないかと思っています。

何枚かストックホルムの冬の光景をアップしておきます。
寒い中でも明るく暮らしている人々の笑顔が素敵でした。

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